Technology 宇宙開発事業
高信頼度抵抗器の概要
当社は、日本の宇宙開発事業が本格化した1970年代に宇宙開発事業団(現在の国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構)よりロケット用抵抗器の開発を受託し、宇宙開発用抵抗器の製造を開始しました。
ロケットや人工衛星等は軌道上でのメンテナンスが出来ないため、使用する部品には高信頼、長寿命が要求されます。
したがって宇宙機に使用される部品は、各国の宇宙航空開発政策を担う研究開発機関が求める信頼性や品質の認定を受けた部品が使用されることが一般的で、当社では国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構の認定を取得した製品(JAXA認定部品)をラインアップしています。
また、これらの宇宙開発で培った高信頼・長寿命の技術は、光海底ケーブル(大陸や島々をつなぐための通信ケーブル)にも活用され、通信をはじめ地震や津波などの観測活動でも貢献しています。
高信頼度抵抗器の特長
有鉛はんだ端子の適用
一般の電子部品では端子部の鉛フリー化が進んでいますが、宇宙用途の抵抗器では、次の理由により有鉛はんだ端子を採用しています。
ウィスカ(Whisker)の抑制による信頼性の向上
Sn(錫)やZn(鉛)などは、宇宙空間では地上よりも過酷な温度変化が繰り返されることからウィスカの成長が顕著となることが知られています。
外部電極のSnや接合材料となる鉛フリーはんだ(Sn-Ag-Cu系など)はウィスカの成長が早く、その一方で有鉛はんだ(Sn-Pb系)はウィスカの成長が遅いことが確認されています。
ウィスカは回路間の短絡や導通不良の原因となることから、ウィスカが発生しづらい材料の採用が求められています。
信頼性の保証体制
全ての出荷品に対して、全数スクリーニングによる初期故障品の排除とロット保証試験(抜取りによるロットの健全性確認)を行っております。
全数スクリーニング
スクリーニングは様々な手法がありますが、当社では長年培ってきた経験より部品の構造や性能に適した手法を用いています。
熱影響検査 | 電気的検査 | 構造検査 |
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・温度サイクル ・高温放置 | ・パルス印加 ・過負荷 ・電圧エージング ・第三高調波 | ・拡大鏡観察 ・X 線観察 |
抵抗器
抵抗器は、回路に流れる電流を一定に保ったり、必要に応じて変化させたりするための部品です。また抵抗器は、電圧を下げたり、電圧を分けたりすることにも使用されます。
このように抵抗器は、主要な受動部品であり、電子回路の基本部品の一つとして不可欠な電子部品です。